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お知らせ
令和5年 年頭のご挨拶
2023.01.01
おしらせ
理事長 森川 等
新年あけましておめでとうございます。
皆様にはそれぞれ輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
昨年は、2月に始まったロシアのウクライナ侵攻により世界中が震撼しました。この戦争が欧州をはじめ世界に及ぼした損害は巨大なものになり、自動車産業や私たちの日常生活も大きな影響を受けました。特にエネルギー価格の上昇は、燃料代、電気代、ガス代の上昇につながり、それを必要とする農産品、食糧品、生活必需品の価格が上昇しています。自動車業界においても半導体の供給が潤沢となっておらず、海外からの部品調達の遅れから自動車メーカーは生産計画の変更を余儀なくされています。このため新車販売では、各メーカーとも6か月から7か月程度の受注残となっており、2023年中にこうした事態の解消を願う声は業界内でも高まっています。
一方、行動制限が緩和されたこともあり、少しずつではありますが社会はコロナ禍前の状態に戻りつつあります。コロナ禍で加速したデジタル化、電子化は様々な業界で普及・浸透し始めています。自動車業界でも既にご承知の通り、2023年1月からは自動車車検証の電子化がスタートします。継続検査において車検証更新の手続きを大幅に省力化する車検証電子化は、継続検査OSS(ワンストップサービス)での申請によってそのメリットが高まるとされています。(一社)日本自動車整備振興会連合会(日整連)によると継続検査OSSの指定工場利用率は、2021年に登録車48.9%、軽自動車40.0%と決して高くはありません。しかし国や関係団体が指定工場におけるOSS利用促進に注力しているため今後の展開が注目されるところです。
これまでも自動車業界は、ハイブリットカーやEVといった次世代自動車の開発・実用化に力を注いできました。2016年のパリモーターショーでドイツの自動車メーカーであるダイムラー社が「CASE」のコンセプトを発表してから、自動車技術の高度化とドライブトレインの転換、自動車ユーザーのライフスタイルの変化によるクルマの使い方など、自動車業界は物凄い速さで変化を続けています。
しかしその反面、コロナ禍で自動車産業のサプライチェーンが寸断されたことにより、世界的な市場の冷え込みがありました。さらに「脱ガソリン」「カーボンニュートラル」が世界的に提唱され、EVシフトの影響もあり、自動車の生産台数は2030年に向けて鈍化すると予測されています。主な背景は先進国の少子高齢化や人口減少です。加えて日本においては若者のクルマ離れや都市部の公共機関の充実といった環境の変化もあるようです。何も施策を講じずに生産台数が鈍化していけば国内の自動車産業全体で業績が落ち込んでしまいます。
整備業界においては、実際に「スポーツカー専門店」「ハイブリッドカー特化型」といった個性を生かした整備工場が生まれています。つまり、専門性を高めて様々な要望にも応じられる知識と技能を身に着けているということです。また、カーシェアリングやカーリースなど、点検整備や修理以外の業務を手がける整備工場も増えています。
そのような状況の中、私たち部品商は自動車の補修品の流通に携わっているだけでよいのでしょうか。今後を展望したときに大きな不安を覚えます。
次世代自動車の普及に伴い、高度技術満載のクルマが増えています。技術が進歩すれば交通事故の件数や自動車の破損は減っていきますが、どれだけ技術が発展しても自動車の点検やメンテナンスは変わらず必要です。また、クルマの高度化により点検項目の内容や整備ポイントが変わることが予測されます。私たち部品商はクルマに関する専門的な知識、具体的にはIT知識など自動車の電動化のシステムに関する幅広い知識を今以上に身に着け、自動車整備工場を中心としたお客様の役に立つ分野へ業務範囲を積極的に広げる努力が求められると考えます。
全部協は、激動する見通しのきかない難しい時代にあって自動車産業で何が主流になっていくかを見極め、自動車アフターマーケットのさらなる発展のために一層尽力してまいります。
最後になりますが、組合員企業をはじめ、皆様方のご健勝を心からご祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。