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お知らせ

令和6年 年頭のご挨拶

2024.01.01

おしらせ

全日本自動車部品卸商協同組合
理事長 森川 等

森川理事長









 明けましておめでとうございます。皆様方におかれましては穏やかな新春をお迎えしていることとお慶び申し上げます。

 全部協は昨年9月、前身団体である「全部連」時代から慣れ親しんだ上野の事務局から霞が関の新事務所に移転し、気持ちも新たに事業活動に取り組んでいます。

 昨年は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことで、経済状況がほぼコロナ前の水準に回復しました。インバウンドを含めた人の動きも活発になり観光地等ではオーバーツーリズムが起きたところも多くありました。その一方で、収束の兆しが見えないロシア・ウクライナ戦争と、その影響によるエネルギー資源価格の高騰、円安、加えて社会問題となったビッグモーターによる保険金不正請求等、自動車業界に少なからず影響を及ぼす出来事が多く発生した1年となりました。

 そのような中、昨年10月に「ジャパンモビリティショー2023」が4年ぶりに開催されました。このショーでは市販を前提とした完成度の高いEVが多く出品され、世界の自動車メーカーは、EVシフトの真っただ中にあり、その流れは日本にも怒涛の如く押し寄せているのを改めて感じました。一言でEVと言ってもその中には、PHEV(プラグインハイブリッド車)やFCV(燃料電池自動車)も含まれていますが、その中心はBEV(バッテリー電気自動車)となることが予測されます。バッテリー航続距離や充電設備等インフラの問題もあり普及には時間がかかると言われていますが、購入できるEVのラインナップが増えること、購入の際に国や地方自治体からの補助金が受けられるといった要因も、少なからずEV普及の追い風になると感じています。

 

 2024年には、最も差し迫った課題として「物流の2024年問題」があります。政府や物流業界に加え、自動車メーカーもこの問題への対応に本格的に取り組むようです。トヨタ自動車では、部品仕入先がそれぞれ手配して部品を納入する「お届け物流」から「引き取り物流」へと順次切り替えを進めています。複数の部品メーカーをトヨタ手配による1台のトラックが集配して回る「ミルクラン」方式で輸送効率を高めるというものです。九州、東北地域を皮切りに導入が始まった「引き取り物流」、今後も順次拡大していくものとみられます。またメーカー間での共同配送も検討されているようです。他方、部品商としては物流業界の働き方改革の進展に伴うドライバーの時間外労働の制限、全国的なドライバー不足などに起因する純正部販会社を含む各仕入先からの配送料の請求、配送の遅延が懸念されるところです。

 ハイブリッド車やEVといった先進技術への対応も今まで以上に重要となってきています。2020年4月に施行された特定整備制度は緊急自動ブレーキなど先進運転支援システム(ADAS)の搭載拡大を受け、電子制御装置の適切な整備により安全を担保する制度ですが、その経過措置が本年3月末で終了となります。特定整備事業認証を未取得の整備業者は、特定整備に該当しない車種しか作業できなくなり、先細りになっていく懸念があります。また、昨年10月からOBDプレ検査も始まっています。10月以降の車検では、車検証の備考欄に「OBD検査対象」などと記載がある車両は、今までの検査項目に加えOBD検査が必要となります。

 このようなことから、自動車整備に新たな技術が必要になってきています。しかし、新たな技術の導入には教育や新たなツールが必要です。私たち部品商の役目は、整備作業のデジタル化を提案し、整備工場の技術革新と業務効率化をサポートしていくことです。加えて、整備工場が困っていることに対して、解決策をともに考え、必要な情報を提供していかなければならないと考えます。

 次々とスピードをあげて押し寄せる自動車業界の変化の波の中で、取り組むべき課題は山積していますが、私たち全部協は自動車アフターマーケットの発展のために一層尽力してまいります。

 最後になりますが、皆様方のさらなるご発展を祈念申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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